スタッフブログ第576回は福原がお届けします。
先日、話題の小説、林真理子著「小説8050」を読みました。
読みやすい文体、スピード感あふれるストーリー展開であっという間。
6時間で読了しました。
題名に、「8050」とあるので、50歳になった、ひきこもりの息子が、
80歳の親の年金をあてにする社会問題を扱った小説かと思いきや。
エリート家庭の夫婦が、不登校のまま20歳を迎える息子の、
トラウマになった過去(中学時代)のいじめ加害者に裁判で立ち向かう!
という内容だったのです。
ネタバレになるので、控えめに書きますが・・・・・。
主人公の親は、世間体を気にして、子供の個性を無視してレールを敷いたり、
夫婦で、よく話し合わずに逃げる一方だったり・・・。
どれも、現代の核家族の中ではありがちな親なのですが。
今回、林真理子が見事だなー、と思ったのは、
家族の絆が壊れ、家が無機質な空間となってしまうその課程と、
鉛のような、家族間の空気を、描き切っていることでした。
でも、逆に、読後 残った疑問・・・。
厳格な家庭に育っていながら、
受験戦争で思春期を無駄にしていながら、
いじめを経験していながら、
無理解な先生に悩まされながら、
そんな困難を経てもなお、明朗快活な精神を保って、
社会に出ていく若者もいる・・・・。
かと思うと、主人公のように、中学校のいじめで、
一生ひきこもり生活に向かってしまう人もいる。
この違いは、いったい何なのだろう?
人間が強い弱いで、簡単に割り切れる問題だろうか?
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と、思っているところに、
先週のラジオ、「テレフォン人生相談」。
私は、パーソナリティ加藤諦三先生の大ファンなのですが。
これに、大原敬子先生(幼児教育研究家)が出て来ると、車を停めて聞き入ってしまいます。
この日は、
成績が校内ビリの娘がゲームばかり。
大学や就職が心配で、ノイローゼ気味。という母親からの℡。
まず、大原センセが、ブチ切れます。
「母親のくせに、娘の本心が見えてない。
自分を幸せにしてくれる娘かどうか、にしか興味が無い!」
泣き出した相談者に、加藤先生が話しかけます。
「あなた、自分のお母さんにも気を許したことないでしょ?」
相談者、号泣。
「あなた、未だに自分の親がどういう人か知らないんですよ。」
「怖くて、無機質な檻の中に閉じ込められた状態のあなたが、
そのことを認めさえすれば、その時はじめて娘さんを迎えに行けますよ。」
私も、車の中で、拍手!!!
加藤諦三先生の若い頃の著作には、
「親にコントロールされた子供が、いかに自由な感情を壊され、一人ぼっちの闇に放り込まれるか。」
といった主旨のことが、これでもかというくらい毎回出てきます。
何十年経っても親子関係の溝?淵?は、深いのだなー、と、
林真理子 からのー、テレフォン人生相談にふれて思ったのでした。
おわり